即興小説トレーニングだったり、他の短編。
黄金の子守|一次SS
かしずくことはさして苦ではないの。それなりに扱い方も覚えてきたし。まだ知らないことも大層多いけれど、それはこれから覚えていけば良いことだわ。 肌着は生成り。淡く漂うミルクの匂い。毛はまだ揃っていないようで、笑い声は庭 …
手は届くのに心は遠かった|一次SS
手は届くのに心は遠かった。 手を伸ばしてくれているのはあなただし、もし僕のこれが心と呼ぶようなものであれば、という話だけど。僕を熱心に読み耽るあなたの目元はとても懐かしいもので、僕を支える手はかつて僕に触れていた手に …
とてつもない朝|一次SS
22時。夜食に買ったカップ麺にお湯を入れてからとうに15分は過ぎた。またたっぷりスープを吸ったふやけた何かを食べるはめになる。目の端でのびていくカップ麺を確認しながらも、私はまだモニターから目を離せないでいた。コードを …
私のペン|一次SS
「これと、こっちの黒いのと、あと前に買ったのはまだある?」 小さな瓶詰めが並ぶ店のカウンターであれこれと指をさすと、店主は慣れた様子で瓶詰めを棚から取り出して私の前に並べる。瓶詰めの中では色とりどりのインクがたぷたぷ …